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第4回 同等性評価と日本基準のコンバージェンスの課題

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1 EUによる会計基準の同等性評価

前回までにご紹介しましたように,EU(欧州連合)は2005年からEU域内の上場企業の連結財務諸表について国際財務報告基準(IFRS)の適用を義務付け,さらに,同市場での資金調達を行うEU域外企業に,IFRS又は同等な基準の適用を義務付けることにしました。そしてそれについての具体的な検討を,欧州証券規制当局委員会(CESR)に依頼していました。これをうけて,2005年7月にCESRは,米国,カナダ,日本の会計基準を対象に,IFRSとの同等性評価を行った「第三国基準の同等性評価に関する技術的助言」(CESR/05-2306)を公表しました。

同報告書では,日本基準は全体としてIFRSと同等と評価されたものの,26 項目の追加開示等の補完措置が必要であることが指摘されました。補完措置は,補完計算書(仮定計算ベースの要約財務諸表)の作成,及び追加開示に分かれていました。より実務上の負担が重い前者には,①企業結合における持分プーリング法適用の禁止,②特別目的事業体(SPE)の連結の拡大,③在外子会社の会計方針の統一の3項目が含まれていました。

しかし,米国会計基準についてもわが国と同様に補完措置が指摘されており,同技術的助言の国際的な影響は大きく,当該補完措置の適用は,当初2007年からと予定されていましたが,2009年1月まで延期されることになりました。すなわち,コンバージェンスの作業を進め,2008年末において再度,同等性の評価を実施し,対応を決定することになりました。

2 わが国の取組み

2006年1月に,企業会計基準委員会(ASBJ)は「日本基準と国際会計基準とのコンバージェンスへの取組みについて-CESRの同等性評価に関する技術的助言を踏まえて」を公表し,CESRによって示された補完措置の項目について,現状の概観と併せて2008年時点でのコンバージェンスの達成状況について,当該時点での見通しを明らかにしました。そこでは,既に2005年3月から開始していたIASBとの共同プロジェクトの推進により,相違点の縮小を進めるとともに,CESRから示された補完措置項目については,その重要性に鑑み,市場関係者の合意を得て差異の解消に向けた作業を加速し,できるだけ早期に追加開示が最小限となるよう取り組むとの方針を示しました。

「日本基準と国際会計基準とのコンバージェンスへの取組みについて-CESRの同等性評価に関する技術的助言を踏まえて」には,CESRから示された補完措置の項目についてのわが国の会計基準の現状及び今後の対応が含まれており,CESRの同等性評価に関する技術的助言を契機に,わが国のコンバージェンスへの対応はより具体性を帯びてきました。

3 東京合意

IASBとのコンバージェンスプロジェクト,EUによる同等性の評価などを契機に,ASBJは,在外子会社の会計方針の統一,ストック・オプションの費用化,棚卸資産の評価基準の会計基準を公表するとともに,2007年にはいってからは,資産の除去債務,工事契約,金融商品の公正価値開示,セグメント情報等についての公開草案,論点整理を相次いで公表しました。

このような中,IASBのトゥイーディー議長が2007年8月に来日し,2005年3月から開始している日本基準とIFRSのコンバージェンスを加速化することの合意(東京合意)が行われました。そこでは,同等性評価に関連してCESRが技術的助言により補完措置を提案している項目について2008年までに解消するか会計基準が代替可能となるよう結論を得ること,さらに,これまで両者で識別されてきた日本基準とIFRSとの間の差異のうち,残りの差異については2011年6月30日まで解消を図ることが合意され,新たに目標期限が設定されました。

東京合意に基づき,ASBJは新たなプロジェクト計画表を昨年12月6日に公表しました。この計画表では,短期(EUによる同等性評価に関連するプロジェクト項目),中期(既存の差異に関するプロジェクト項目)・中長期(IASB/FASBのMoUに関連するプロジェクト項目)の3つに区分して,今後コンバージェンスが取組まれることになっています。なお,各区分で取組まれる項目の内容の概略は以下のとおりです。

1.短期
EUによる同等性評価に関連するプロジェクト項目
企業結合(STEP1),棚卸資産(後入先出法),会計方針の統一(関連会社),固定資産(減損),無形資産(研究費・開発費),工事契約,資産除去債務,退職給付(割引率その他),金融商品(時価開示),投資不動産
2.中期
既存の差異に係るプロジェクト項目
セグメント情報開示,企業結合(STEP2),過年度遡及修正
3.中長期
IASB/FASBの覚書(MOU)に関連するプロジェクト項目
連結の範囲,財務諸表の表示(業績報告),収益認識,負債と資本の区分,金融商品(現行基準の見直し)

(注)上記表は,ASBJが昨年12月6日に公表した「ASBJプロジェクト計画表」を要約したものである。なお,企業結合は,EU同等性評価対応を対象とするSTEP1とそれ以外の差異解消を対象とするSTEP2に区分されている。

4 2007年12月のCESRのコンサルテーションペーパー

EUでは,2005年7月のCESRの技術的助言を受けて,同等性評価についての検討が継続的に行われていましたが,2007年12月11日にCESRは,コンサルテーションペーパー「中国,日本及び米国基準の同等性評価についてのCESRの助言」(CESR/07-761)を公表いたしました。

コンサルテーションペーパーでは,CESRは,2005年に公表した同等性評価についての報告書で識別した重要な差異が除去されているかという観点から,東京合意に基づいて作成された上記のプロジェクト計画表を分析したとしています。その結果,CESRは同プロジェクト計画についてコメントする立場にないがASBJが目的を達成することができるであろうことを疑う理由はないとしています。したがって,CESRは欧州委員会に対し,2008年6月時点において,ASBJが東京合意で掲げた目標期限を達成する十分な証拠があるかぎり,日本基準を同等と考えるべきあると勧告しています。なお,このCESRのンサルテーションペーパーは,欧州委員会で検討され,2008年6月に最終的な取扱いが決定されることになります。

このQ&A は、『週刊経営財務』2854号(2008年1月28日)にあらた監査法人企業会計研究会として掲載したものです。発行所である税務研究会の許可を得て、あらた監査法人がウェブサイトに掲載しているものですので、他への転載·転用はご遠慮ください。

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